友だち/中田満帆
洗いざらしの衣類のなかで、リーバイ・パタの詩画集をひらく
女のいない男がしてやれるのはたったそれだけのこと
コインランドリーが不法占拠されてしまう夢を
ついさっきまで見ていたんだよ
もしきみが電話をかけてくるならば、
ほんの少し孤独を信じられる
ほんの少し痴性を信じられる
おれに与えられたものに唾を嘔いて
おれに与えられなかったものに焦がれて
ついさっき犬の便器に花をちらした
やがてその花が城に成長するまでにじっと
どれだけの戦があり、歴史が書き換えられるかをきみと一緒に眺めたい
もしもおれがまだきみの友人で、きみにとってなにかであるのなら
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