「君たちはどう生きるか」を自分はどう見るか/木屋 亞万
 
ファンタジーの行ったり来たり問題
 これは現実なの?ファンタジーなの?どういうことなの?となりがちで、置いてけぼりにされる。不思議の国のアリスをはじめて読んだときは、置いてけぼりになって混乱した。夢オチの代表作だ。
 夏目漱石の『夢十夜』みたいに全部が夢でないかぎり、眠っている描写の前後は夢=ファンタジーとなる。
 例えば、主人公の眞人が木刀でアオサギと戦うシーン。階段に座り、母の声を聞くシーン。主人公がハッと目覚めるので夢だと分かりやすい。夢が現実に影響を及ぼすことで、不思議さに現実感が増す。持っていたはずの羽がなくなってたり、逆に夢の中の出来事のはずの木刀がくだけたり。

 では、夢
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