夏を乗り切る/日朗歩野
作業をしていると
体温があがる
汗がどんどんでる
それでもあがる
水道で
手のひらを流す
肘から先も流す
蛇口の下に突っ込んで頭も流す
身体の中には
確かに血が巡っていて
身体全体が冷えてく
頭を流しながらじっとする
巡っている
巡っている
感じる身体の中
頭の中も冷めていく
我に返る
ふと酔いが覚めたように
頭と身体の機能が戻る
顔を洗って ひと休み
その繰り返しで
一日を乗り切る
夜は回復に務めて
次の日へ
そうして夏を乗り切る
少し涼しくなってきた頃
一つの旅を終えたような
そんな気分を味わうのだ
あと何回いけるか
過酷になっていく夏
弱くなっていく私
ミカンの樹が
じっと黙って立っている
大丈夫
私はここで生きていく
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