アイソニアの騎士、立つ(十五)/朧月夜
ヨランの情報網は確かなものだった。フランキスたちは、
ヨーゴスラン地区にある旅籠に逗留しているということだった。
アイソニアの騎士はいきり立つ。
「ヨラン、今すぐ乗り込むぞ! 今日こそ決着をつけてやる。
そして、イリアスをこの手に取り戻すのだ!」
「騎士様。ですが、慎重に慎重を期さなくてはなりません」
「フランキスごとき、脆弱な魔導士。俺の敵ではない」
「フランキス様は戦士ですよ? クールラントの千人隊長です」
「それに……」とヨラン。「祭祀クーラスの信頼も厚い」
「祭祀クーラス。奴がこの事件の黒幕だ。フランキスを葬ったら、
俺は祭祀クーラスもこの手にかけてやる!」
「騎士様。早まってはなりません。今回の戦争を、より混乱させる気ですか?」
「戦争など、俺にとっては関係ない。愛する者を守るだけだ!」
「戦争に参加する者は、誰でもそのように考えています。騎士様」
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