おれが愛に気づいたとき、その愛がおれに語ったこと/中田満帆
どこか見憶えのあるような、
なだらかな空気のなか硝酸系の毒物を蒔く
愉しそうな子供たち、大丈夫もう終わりだから
地下鉄工事の終わらない夏休み
眠れない夜をいくつもいくつも数えた、
だけれど、それ、ぜんぶ終わるから。
だから緊急脱出ハッチにはふれないでおくれ
かれらかの女たちはぜんぶきみのもの
きみがわたしを閉め出すための舞台装置
きみはきみのなかに拒絶を孕んだ、もちろんこちらにむかって
わたしに預けられたはずのあかるい未来、そして来なかった未来、
ガラス戸のむこうでいまも存るかも知れない未来について考えるのはもうやめだ
計画はみんな中止、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)