片端の雉鳩/あらい
 
る時

 頭上には
 図上には、交差した 跡が遺る  

   永症パズルは乱れ、崩れてもいなかったが復唱している。
   モノクルのカウントが夢月訪花からさかさまに、Iを置き
   去るばかり。羽織物はカスリ綴じたもので、躾けられたは
   ずの実が見当たらないから、交換日記にもならない虫食い
   だけの頁に、栞を挟んだのは、誰のせいでもなく 夢でも

  哭く幻でも なく今

   かげもかたちもりんかくもなんにも、触れて なくて
  それでも、なにかある気がしていて、振り向かれる程度で
  季節も時代も丸裸の幹に傷を負って、硝子の葉が 羽が
 どこかですれ違ったつむじかぜのせいで、それでは
 inkと藁半紙が擦れ上げただけの、落書きであったとして

破面という積み木を一弾づつ翻したマヒルの声がこだましている。そうだ僕に
 は顔がない、そんじょそこらから、新芽がゆれてゆれて。鏡に映るだけの水
 たまりに澄んでいたの。?ゐだけのものでもなかったけれど、やはり道幅に
 は羊歯。やわこそばゆきざわめきたつだけの。どうせ無言を羽音している。
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