世界/銀薔薇
 
可愛らしい小さな花を
踏みつけそうになった
避けようとした瞬間
目の前に大きな木が現れる

よく見ると
あれ?さっきの花?
まさかと思うが

「それってさぁ!
花が大きくなったってこと?」

背に気配を感じ
振り向くと
自分より大きな虫

「擬態型ッ?」

よく見ると
蝉の幼虫

「これってさぁ
ぜったい僕が小さくなったんじゃん!」

幼虫の背中が割れると
眩しく輝く威厳に満ちた
大人の蝉が現れて
会釈しながら手招きをする

「友好型かッ」

蝉は僕を背中に乗せて
小さな空という名の
大空を飛んでいる
僕もまた
小さな世界という名の
大世界で生きている
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