裸足になりきれなかった恋歌/中田満帆
とにかくぼくがいこうとしてるのはきみのいない場所
トム・ヴァーレインにあこがれる女の子のいる場所
リアルさがぼくをすっかり変えてしまった
現実の鋭利さ、あるいは極度の譫妄、
それらの果てで、いままでのあこがれがぜんぶ砕かれたんだ
きみのことだってもはや小さななにかさ
終夜営業のガス・スタンド、
その窓に残された指紋や伝言みたいなものさ
きみがいる世界、
あるいは場所、
それはもうぼくとは関係がない
繋がってしまうことなんかできないのをわかってる、識ってる
溶接工が季節のなかでアークを操る
なにもかもが繋がれてしまうなかでぼくはいつも
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