じいちゃんが死んじゃった/花形新次
 
中風のじいちゃんが
コロナを拗らせて死んだので
庭の枯れ枝を集めて
じいちゃんの上に被せて
燃やそうと思った
じいちゃんに枯れ枝を掛けていると
じいちゃんの思い出が
頭を過って涙が出そうだった
じいちゃん、じいちゃんは
東北訛りが酷くて
何言ってるのか一言も分からなかったよ
じいちゃんと一度で良いから
ちゃんとコミュニケーション取りたかったなあ
そう言っていると
がさがさと音がして
じいちゃんが身を起こした

だからといって
じいちゃんが死んだことには
変わらない
僕は太い枝でじいちゃんの頭を
一叩きして再び眠らせると
百円ライターで火を点けた

じいちゃんの火が渦巻いて
龍になって雲を突き抜け
そこから雷となって海に落ちる


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