グラスと水・繭/あらい
 
幻灯機に噛まされたスライドがまた一枚語り始める
手探りである気がする 壁に阻まれて進めないから
薄墨色の夜に無様に徘徊する すがたばかりだった
      冷ややかな輪郭に沿って指先が触れる、
      足元が濡れて、塗れる躰が震えていた。
  微動だにできないくせに あたりに目を凝らす
  無垢な姿で泣いているのだと喚いてしまったが
  粛々と執り行われていた

       寄す処(ヨスガ)の窮(きわ)まり
 
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