永遠には生きられないけど/ホロウ・シカエルボク
 

地面に伏した死体は若い女のようだった。なぜそうなったのか、もう判断もつかないほどに腐敗しきっていて、鮮やかな配色だっただろう衣服ももう、全身から溢れ出した体液に塗れて汚物のような色味に変わっていた。以前、レストランの厨房で働いていた時、鼠の死体を処理した午後のことを思い出した。まだしっかりと形を残していたそれは、自分の手の中で砂のように崩れて薄汚れた毛の塊になった。あの時俺の中でいくつかの生が、鼠の死に持っていかれたのだ。人は死を前にした時、無意識に共に逝こうとするのだろうか?古い記憶だった、今更思い出す必要も特にないような―けれどあの、冷蔵庫の裏で眠っていた鼠が語った死は、後に死んだ父親の死
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