蛙とお弁当/日朗歩野
雨の中 お弁当を食べた
山積みの木の枝を燃やす
離れられない仕事だったから
雨にぬれていくご飯 おかず
服に染みた煙の臭いは
ぬれるとちょっとおえってなる
思いがけず惨めさがこみあげた
こんな気持ちになるなんて
自分で決めたことなのに
狸だったらどうだろう
烏だったらどうだろう
雨がやむまでくらい
お腹がすいても待つべきだった
夕方には帰る家もある
突然
べづにいいだぼぉーーん と
太い声
蛙の王様がどこかで見ていたらしい
一緒にそばいてくれれば
本当に「別にいい」って思えたのにな
少し元気になって
お弁当を食べた
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