託す/草野春心
 

  読みさしの本に
  めがねを置いて

  電気をけして寝る
  かぜのたたく
  春のよる

  飼っていた 小さい いぬ
  ゆめのなかで やわらかく
  きみの手にだかれている

  渦になり吸われていく
  この 時の なかに わたしは
  かたい 波打ちぎわを
  手渡しでたくした


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