意識の芽生えか、ふ/坂本瞳子
 
気持ちが焦るのは
自信がないからだろう
いや
焦っているのを
誰かに悟られたくないのと
自分で認めたくないのと
どちらにしても
楽観的になれる要素は見当たらない
そしてまた自己嫌悪に陥るのだ
もう落ちるところまで落ちてしまいたい
あとは這い上がるだけ
這い上がる自信もないくせに
いっそのこと井戸の底で干からびたいとさえ思う
いやいや
そんなことはない
意地汚いことこの上なく貪欲に上り続けるだろう
壁にへばりついて
落ちても落ちてもまた起き上がって
のたうち回って
ジャンプして
身体中を痣だらけにしても
爪の間から流血しようとも
穴蔵から出ようと最大限の努力をするんだろう
生命が尽きようとも
なんとか陽の光を見ようと
もがき苦しむのだろう
その苦しみと痛みとを感じることで
生命の情熱を覚えるだろう
そんな日がくればいいものだ
いまはまだその程度にしか思っていないけれど


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