朝、薄い。/あらい
 
心象の家側の顔を描き出したい
はだける女が 長く黒い髪を緩やかに波打たせ
陽に柔しく撫でるは頬に 海を見たのだと、ぽつり

屏風の奥底に光が眩しく 途があとを引く

きつく縛られたそのときには
嫋やかにあることが
鬱らんとするけれども

金の樹海の真ん中あたりに或る今が
トワイライトの洋燈の余熱を掲げるのだと 私は
アナイニンとして手を引いているのかも識れなかった

みるなと言われてしまえば 
こっちをむいてよ
ぼおとするほどいてよ。
なぜかほとほとに、あぐむのだと

手を焼いている。
是等、鼬と猿と鶴と鞭。

キミのそれとはまた違う 瞳を閉ざしてはちょうど
フォトフレームの一角に朦朦と広がるはやはり

迷霧と一羽の鴉

屈折した操舵手は風見鶏を形だけに
尖塔は縺れ杭を打つ
歩幅だけが揃えては、
道には一ツの足跡だが 到っても捗らず

どうしたものかとうんうんいって掻き毟る。
ひどい雨が振り始めていることに思い余って胸を痛め
湿気た面だなと ちょうどシワを寄せた、ゆめとあえぐ


2023/04/24
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