いしのなかにいる/あらい
 
窓辺から射した陽に透かせばきっとなんとも言えないうすっぺらな輝きを放つというもの。
 そしてお決まりに虹なんて見えやがる、私という意思を移した偶像、物語にすればまあまあイイ感じのまぼろしに現れる。
 いつからこの石は固い?
 ただのイシコロであるのに、自分自身ではどうでもいいことで、値打ちなどくだらないほど、結局しまい込んでは後生大事に吐き捨ててしまいたいのに、
 いつだってどうしてか胸のうちに仕舞いこまれて。

 価値もないのに思い出ってやつが、なにか金の足しにでもなるのならまだいいのに、空腹を満たせるものでもねえのに、いやいや持っていると知っていても。
 それすら、面倒なものだから、顔を背け、鏡の伝染る面影にうんざりしながら同じ道をいくのかと、せいぜい呪ってくれればいい。それぐらいの気持ちで手放せずに愚痴のひとつも言いながら、酒のつまみに掲げては見つめ続けている。

2022-12-21
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