蛇行した影を刻んで/あらい
紅葉は散り尽し石段を埋める、丈の短い石の鳥居を潜る際に
山茶花の華を一瞬愛でる、その脇に小さきものを護る後光に眩んだ
幼き頃から見知った丘のような古山に祠が鎮座する
狐様が緩い小道を見守るような桜並木を永遠に思いながら
手を繋いで歩いたのは何時までだっただろうか
今は印影を片手間にブツブツと綴る
日々墜ちる陽を季節をなぞるように留め撫でる
酔いに奔らせ
これは無駄なことなのだろう、
思い出せればいいだけの話で
唯の未練なんだよ、と哂って澄ましたいのに
理由なんて意味のないものに囚われ贖罪を隠すのだ
いつか必ず失くしてしまう記憶と躰の均衡が崩れてさ
わたしがわた
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