アンタレス/服部 剛
 
ぶ 幾人もの面影

道半(みちなか)ばで人生の線路を下車した者がいる
発光する四つんばの肉塊で
闇へ伸びる線路を這い続ける者がいる
点在する道しるべの灯(ひ)に呼ばれるように

小さき花等 笑い 揺れる 丘の上
白いマリアの胸に抱かれた幼子の瞳をみつめ
生の意味を問う若い頬を夜風は拭(ぬぐ)い

見上げた空には
蠍座(さそりざ)のアンタレスが
いつまでも 赤い光で 燃えていた


 *アンタレス・・・蠍座の星


 
  
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