休日の自転車/番田 
 
テーブルの上に置かれていたカップにはお茶が入っていた。テレビの前には、リモコンが転がっていた。風が部屋を出ると、吹いている。少しだけ、ぬるくなっていたカップの温かさ。目当てにしていたはずの番組が街では放映されていた。隣の部屋でそれを見ていた女の子。ペダルを踏んだ自転車は隣町に向かう道の景色を駆け抜けていく。番組はすでに終わり、日が、最後の一筋の光をディスプレイのフレームに照らしていった。温かったお茶は、口をつけると冷たい、コールドドリンクになっていた。僕はそして、空間の中を進みながら、そのどこにいくのだろうと思っていた。遠くに見えてきた橋の景色に何も思い出すことは頭には無かった。そして僕は橋を渡っ
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