シナリオ「恩寵のバーガンディ」?(新人シナリオコンクール・三次選考通過作品)/平瀬たかのり
とじぃじ、いっぺ
んに死んでから、二人で生きてきたんやん
か、ばぁば」
俯く佳也子。ため息をつき首を横に振
る。
佳也子「七星銀行の東里支店には勤めてた。
けど、あの事件のときにはもう退職してた」
陽鞠「――そう、なん?」
佳也子「そうや。今の料理教室で助手やって
たときや。あの事件が起きたのは」
陽鞠「ほんまに人質やなかったん」
佳也子「陽鞠――わたしが体許した男は順平、
あんたのじぃじだけやない。もう一人いて
る」
陽鞠「え?」
佳也子「あの人質事件の犯人、緑山勝次が、
わたしの最初の男や」
息を呑む陽鞠。
(続)
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