シナリオ「恩寵のバーガンディ」?(新人シナリオコンクール・三次選考通過作品)/平瀬たかのり
ナラで近鉄は優勝してたんや」
陽鞠「うん」
寿道「触ってたんや」
陽鞠「え」
寿道「サードの三村は佐々木の打球、グラブ
の先で触ってた」
栞の挟まれた一冊の本を陽鞠に差し
出す寿道。文春新書、二宮清純著の『プ
ロ野球「衝撃の昭和史」』である。手に
取り、栞のページを開く陽鞠。
寿道「この本読んで知ったんや。佐々木恭介
さん、1994年に『遥かなる野球少年』
って本を出してる。その時にな、三村さん
に、あの十四球目のこと訊きに行ったそう
や」
開いたページに目を落とす陽鞠。
蛍光ペンで塗られた箇所を音読し始
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