新来/あらい
 
    焦点が合わない吸い殻を浮かし酒を白湯で薄めた生活ならまだ
     一揃いの愛らしさと受け容れるとするけど、作法など空想の
     恋人にすぎず、また後ろ手にのばした傷が じくじくと痛い
   ものだから みじめさ。
        (初歩的な処罰、角を出す蕾は 唾を欠く
 赤ん坊をひとつ背負う、           それでは殻も破けない)
  軽石だなこれは。
    すくいとられ、かかえあげられ、もぎ落とした嘴、こすり合わせた
    指の腹 指紋なく、個性を移す粘土じみた皮膚、机の隅を重んじる
    星の砂が。
  仕掛けもなにもこれらが。

素は/しわ 
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