読むことのスリル──ひだかたけし小論(9)/朧月夜
 
す。わたし自身は、氏の今後の詩の発展を期待したい、このような小論による批評だけでは終わってほしくない、という思いがあるためです。批評というのは、その最初から対象に負けているものですが、わたしはさらなる「負け」を期待したいのです。
 氏の詩が成長途上にある、ということをわたしは否定しません。現に生きている詩人が成長ということを拒んだとき、良い詩が書けるとも思いません。しかし、「成長≠完成」でもあるのです。それは、実は似通ったものであり、「時間」というものを排斥したとき、直近するものとなります。ここでサルトルを持ち出しても良いのですが、十分な資料がないために、それは止めておきましょう。ですが、サルト
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