読むことのスリル──ひだかたけし小論(8)/朧月夜
 
なぜわたしが西行を引用したのか、唐突に思われる方もいるかもしれませんね。
 わたしは、西行についてある程度の馴染みがあるということゆえにだけではなく、西行という歌人の生涯をもっても、この「ひだかたけし」という詩人と比較してみようという気もちになりました。というのは、西行という歌人も、若年期のあいだは無名で、晩年になってからようやくその業績を知られた歌人であるからです。「氏が四十歳を過ぎてから詩に到達した」ということは、すでに書きました。その詩歴は、現代詩人のなかでは遅いとも言え、そうとも言えないものです。
 表現が不細工になりますが、わたしは、「VISION.02」「〈根源悪〉の原体験」の時点
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