mechanical ventilator(人工呼吸器)/ホロウ・シカエルボク
 

世界は崩れ落ちたりなどしない、その中で右往左往する無数の個が、語ることもままならず腐り落ちていくだけだ、眠ることのない二四時、薄暗がりの部屋の中空にそんな言葉が捨て置かれていた、後頭部を包み込む枕の感触は俺をこの世にどうにかして留めておいてやろうという慈悲に満ちていた、今夜は夢を拒否するだろう、そんな予感がしていたがだからといって一度横になった身体を再び起こしてなにかを始めようという気にはなれなかった、昼間にはすっかり春になったかと思えるような暖かさがあったけれど、時計が日付変更線に近付くにつれて、熱を忘れたかのように辺りは冷えていた―こんな夜は何度もあった、今よりももっと闇雲で懸命だった青臭
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