読むことのスリル──ひだかたけし小論(4)/朧月夜
慣れに過ぎません。そして、それがひだかたけし氏の詩を評するにあたって、ふさわしいと思えるからです。
この「坂道」という詩では、まず「二人寄り添い」という言葉によって、二人の登場人物が現れます。その後も、「二人して/ぐんぐんぐんぐん」「湧水大地に二人座す」「二つの生が溶け合って」「二つの魂が共鳴して」「僕らは何処に行くのだろう/僕らは何処から来たのだろう」という表現があることから、この「二人」がこの詩の「主役」であることは間違いないことと思えます。この詩の導入である一節も、この「二人」が抜き差しならぬ関係にあることは見てとれます。
ですが、ある二人の個人の関係を表すとき、そこに叙景は必要でし
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