読むことのスリル──ひだかたけし小論(3)/朧月夜
りません。ですが、一人の詩人が詩の中に音楽を引用するとき、それは本歌取りのような趣きを持ってはいないか、とも思うのです。それは、詩人が自己以外の他者とつながっているということの証明であり、共感のための一本の細い糸でもあります。
ある、サブカルチャーとしての音楽を愛するとき、その視聴者はすなわち、その曲の愛好者であることを意味します。つまり、一個の「ファン」であるわけです。「ファン」という括りは難しく、単なる追従者であることもあれば、理解者であることもあります。この詩において、ひだかたけし氏はビートルズというひとつの音楽の理解者です。だからこそ、その音楽そのものは逃れて、自分自身の世界へと飛翔し
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