自分語り/木屋 亞万
 
お湯やら、そんな良さそうなものが、じんわりしみてくるような感覚だった。

 朗読というものがあるのも知った。家族が寝静まった夜にデスクトップの前で、小さな音で流してみた。この詩を書いた人はこんな声をしているのか、こんな調子で読むように書かれていたのかと思った。詩集を自費出版している人たちもいて、その販売をするイベントにドキドキしながら客として入ったこともあった。結局、誰にも声をかける勇気はなかったけれど、何冊か本を購入し今も本棚にある。インターネットで詩を書く人が、実際に集まっていることがうれしかったし、誰が書いているかわからない神秘性が少し薄れたような寂しさもあった。

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