独り言3.2/ホカチャン
○「バスの思い出」
子どもの頃バスはあこがれの存在だった
登下校中にバスに出合うのは
最高の楽しみだった
バスが見えると
砂利道の端に寄って
運転手とバスガールさんに
しきりに手を振った
運転手とバスガールさんも
それに応えてくれた
その交流のことが新聞に載って
地域でも大分話題になったように記憶している
バスが通り過ぎると僕たちは
砂ぼこりの中すぐにバスの真後ろに出て
バスの排気ガスを一斉に吸った
とってもいい匂いでこれが毎回楽しみだった
輝かしい未来の到来みたいなものをその匂いに
感じた
バスの車体には大きなきれいな文字で
「N K k」と書いてあった
ある時級友にあれは
「なんなの?」と聞いたら
「あれは○○交通株式会社」
という意味だと即座に教えてくれた
僕は級友の物知りに驚いた
彼はその後私立名門中学校に合格した
またその素敵なバスガールさんは
地元のバス停になっていたお菓子屋さんと
めでたく結ばれた
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