In the next life/ホロウ・シカエルボク
 

夜の在り方は本当に様々で術無き者たちは剥がれた鱗のように路上に散らばっている、誰かが有名な曲のメロディーを口ずさんでいたけれど音感はいまひとつでそれがなんというタイトルだったか思い出すまでには至らなかった、空気は山中のトンネル内に漂うそれのように冷たく湿気ていてまとわりつくようだった、夜を本当の自由だと言うものが居る、本当の絶望だと言う者も居る、どちらかなんて決められるわけがない、それを感じるのはひとりひとりの心中に息づく理由なのだから…自動販売機を見つけたけれど飲みたいものは売り切れていた、もうずっと、少なくともここ二週間はずっとそうなのだ、販売元の理由なのか、設置している側の事情なのか、特
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