炎は繁殖期の蛇のようにのたうっている/ホロウ・シカエルボク
 

天井の亀裂につけられた名前は俺と同じだった、衝動的な絶望が蝗の群れのように襲い掛かって来る、大丈夫…少なくともそれには鋭い歯はついてはいないさ、午後、化粧板を張り合わせた室内ドアのような、午後…俺は良くも悪くも、そんな午後には慣れっこになっていた―良くも悪くも―ハエトリグモが用事を思い出そうとしているみたいにうろうろとしていたが、俺の気配に気づくと踏み潰されないように次第に距離を取って、いつの間にか家具の後ろへと姿を消していた、極めて人間的な行為だ、と俺は思った、臆病な人間は背中へ背中へと回るものさ…何かが延髄に刺さったような感触があったけれど、アナログの壁掛け時計が一分進んだだけだった、デジ
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