シナリオ・駒は乙女に頬染めさせて?/平瀬たかのり
 
一頭ポ
   ツンと佇む同馬を柵の向こうから見ている寿々芽。
   正純がやって来て、寿々芽の横に立つ。
正純「どうだ、レナーテは」
寿々芽「はい。しっかり馬銜(ハミ)を取って走ってくれ
 ません。常に五分の力で走っている感じです」
正純「そうか。やっぱり走ることを怖がってる感じか?」
寿々芽「はい――それと」
正純「ん、なにか気づいたことがあるのか?」
寿々芽「ボルトが入ってるんです。繊細なタイプの馬だか
 ら、違和感があるんじゃないでしょうか。それが少しで
 も解消されたら、あるいは」
正純「違和感か。性格は?」
寿々芽「素直で従順です。追っても応えてくれないところ
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