シナリオ・駒は乙女に頬染めさせて?/平瀬たかのり
タッフ。寿々芽もいる。
馬運車が停まり、競走馬スペースの扉が開かれ、
架け橋が渡される。その上を牧場スタッフに曳
かれ、ゆっくりと降りてくる栗毛馬。地に降り
立つ。
正純「レナーテ。うちの育成馬。栗東の桃谷厩舎所属
の四歳牝馬。期限を決めん放牧だ」
寿々芽「桃谷先生のところの――たしか追い切りのと
きに骨折した馬がいたんじゃ」
正純「それだよ。デビューから二連勝。三戦目前の追
い切り中に予後不良レベルの骨折。馬主のたっての
願いで延命することになってな、手術して歩けるま
でになった。右前脚にボルトが入ってる。それで折
れた骨を繋いでる」
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)