Roman picaresque/あらい
 
コンクリートの貝塚は回転し ひとつひとつの名を叫ぶ風の爪痕を残した
マドモワゼル。蚊帳の外の魑魅魍魎の惰性が、残響の一つだ。
バックヤードに流れる清流からうじゃもじゃ
数え切れない空き缶のキスシーンの相手は影絵
不幸の岸にある、埋もれた華が燃えてあった
十指に余るだけの、御伽の国は マリオネットが、世界中に丸め込まれた
〈神秘的な魚が游いでいる/樹海の園は祈りの踊り/金色の砂が天から降る〉
ドタバタと編み上げた軍靴の、トイピアノの銃撃戦の
銅鑼の雷鳴と差し引いても、かまびすしい空蝉の、願いを聴いたのだろうか。
キミが持つ廻り巡る懐中時計は歯車を咬み、罅割れを鞣しながら形を変え

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