ある日、なにもかも塵のように/ホロウ・シカエルボク
 

身体はいつしかカサカサに乾き、指先から紐が解けるように崩れ落ちていった、それは一瞬のことだった、それが死というものだなんて思えないくらい簡単な、あっけない結末だった、そのせいかどうかは知らないが、俺の意識はぽつんとその場所に取り残された、致し方ないことだと言えた、死を理解出来ない、体感出来ない人間はこの世に霊魂を残してしまう、そんな話を昔聞いたことがあった、そして、いまの俺がまさにそれだった、なんの前兆もなかった、痛みも、苦しみも…ただ誰かの、例えるなら神様の気まぐれでそんなことになったというようなお終いだった、俺は俺の死を見ていた、つまり、事前に身体を抜け出していたのだ、それが、よく言われる
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