ばあちゃんの家/ホカチャン
 
なんでばあちゃんの家に行くと
あんなに心やすらぐのか不思議だった
手放しで安心できる場所だった
長男が生まれてすぐ死んだ後
次に生まれた僕も病弱だった
「今度は死なせるものか」
とばあちゃんは多忙な母に代わって
僕を背負って医者に通い続けた
ばあちゃんは九人の子どもを育てたが
上から二人を戦争で亡くしていた
僕は丈夫になると
進んでばあちゃんの手伝いをやった
泊めてもらうために
僕はばあちゃんの家に泊まるのが
何よりの楽しみだった
気丈夫なばあちゃんだったが
米寿をすますとさっと逝ってしまった
今でもばあちゃんを思うと
子どもの頃のやすらぎが戻ってくる
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