暗黒海/mizunomadoka
 

海を見にきたのに
波の音だけ

あきらめて
目を閉じる

大渦巻きが運ぶ
湿った風

息を吸って吐く
不自由のリズム

やがて
波の音が消える

呼吸を視線を体温を
透して

命が逃げてゆく
砂の足跡

懐かしい背中に
抱きつく

きみは私と
分からない

触れるまで
完璧だったのに

いつも私は一人
開いても闇






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