冬/短詩群/ちぇりこ。
 
「風の強い日」

ぽっかりと空いた
鳥の空洞に
冬を詰め込んだら

あんなに高くなるんだ
街で暮らす人の目は
うつくしい等高線を
描き出す
いつの間にかの
水溜まり
天気予報の神さまが
溺死している
落ち葉で隠して
ばいばい、ね
冬に生まれた
つよい子の
ありふれた下校時間
風、強いね


「冬の頂」

頭をもがれた白い鳥の群が
でたらめな旋回で
きりもみ
きりもみ落下した
体温を放棄する冬の朝
祝祭の残滓は
澱む排水溝の底で
天気図を書き換えて
あの星を隠してしまう
冬の大地に根を張るしかない
金色の瞳をした子どもらは
隠さ
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