夢の中/Lucy
僕は泣きながら目を覚ます
ベッドからひらりと
降りようとして
背中が軋んだ
ヨロヨロと立ちあがる
いつの間にか
老人になった夢をみている
本棚に
エミリーの詩集はない
この街へ引っ越したとき
捨ててきちゃったんだ
もう 要らないと思って
*
図書館で探すと
その本はあった
ページはくすんで
表紙はかなり傷んでいた
数え切れないくらいたくさんの人が
エミリーの詩を読んだんだ
きっとたくさんの人の凍えた指が
彼女の紡いだ言葉をなぞったのだろう
エミリー・ディキンスン
もう一度君に会いたい
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