イリアスの矜持(七)/朧月夜
 
イリアス・ナディは自分の運命を受け入れていた。
アイソニアの騎士が己の命を全うしていても。
十三歳という年齢を比しても、アイソニアの騎士は、
世界の安寧を守ろうとしていたのである。

「グーリガン様は、世界を救おうとしています。
 それには、彼の仇(かたき)として仇(あだ)なす、敵の存在があります。
 仇敵というのは、いつでも現れるものでしょう。
 しかし、わたしはグーリガン様を信じます」
 
「グーリガンさまは、それらの敵を、必ず屠るのです。
 そこには、時間というものが運というものを差配しています。
 そこには、運命というもの、時間というもの、それがすべて成行を司どっているのです」

「ふっ、戯言ですな。アイソニアの騎士は、何をも信じていません。
 無論、あなたに関してでもです。あなたは、最初に幸福を求めるべきだったのです」
「騙されませんよ。あなたは、わたしを囮にして、グーリガン様を招き寄せているのです」
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