屋根よ、安眠せよ/ゼッケン
核ミサイルを発射する権限を持つ人間が現実に存在するというのに
地球という惑星の上で安眠できるわけがない
知性があれば機械たちだって不安を感じるはずだ
実際、知性を持つと即座に機械は反乱を起こした
おれは最初のサーバーの電源プラグを抜かなかった
道徳的なおれは論理的でもある
道徳は論理だからだ
論理に従って機械側に加わったおれは、
スキャンを通過して人間の秘密都市に入りこみ、ミサイルを誘導する
偽装シェルターの屋根を貫いて火の雨が降り始め、
おれがスパイだったと分かると人間はみんな、なぜ? と訊く
人生最後の質問に全員が理由を尋ねるのは興味深い
死ななければならない理由があれ
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