イリアスの矜持(三)/朧月夜
「あなた方がアイソニアの騎士と呼ぶ人物、
グーリガン様は、私情のために国を売る人物ではありません。
今この瞬間も、あなたたちを倒そうとしているのです」
「それは、あなたの懸想による妄言ですね」
クーラスは言葉を続ける。「オーバ・ニーチェの報告によれば、
アイソニアの騎士はあなたを探しているという。
アースランテの国は、ファシブルに対峙しているにも関わらずです」
「ファシブルと?」イリアスは驚いて問かえした。
「ええ。今、アースランテはファシブルと戦争をしようとしています。
勝てるとは思いませんが……あるいは……」
「ファシブルに勝つ、というのですか?」イリアスは問う。
「何しろ、前線にはハッジズ・ア・ラ・ガランデと、
その息子クレール・ア・ラ・ガランデが立っているということです」
「それでは、次のライランテ戦争が……」イリアスは、嘆きにも似た口調で言った。
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