6月/大西 チハル
 

遠吠えする犬と
ただそれを聞いているだけの空

消化しきれないメロディは
この地に降りて
雨に流され
水溜りとなる

雨傘を揺らして
男の子

長靴で踏みつける
その波紋

私はそれを
飛び越えることも
踏みつけることもできず


ただただ眺めている




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