どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
花が落ちていた。
酔っていたせいかもしれない。あまり深くは考えなかった。またかよ、と、思っただけだった。数時間前に捨てた空缶を拾い直して、もう一度前と同じように挿した。種類だけでなく、大きさや色味、重さに至るまでさっきまでここに挿してあったものと同じ花に見えた。この時もしも酔っていなかったなら俺は花をどうしていただろう、いまはそんなことをよく考える。もっとも、考えたところでどうにもならないのだろうけど。手を洗い、歯を磨き、うがいをして室内着に着替え、寝床に入るとあっという間に眠っていた。
翌日、午前遅くに目が覚め、顔を洗う時に花を見つけ、昨夜のことを思い出した。一度ならなにかの間違いだ
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