どうか咲いていて/ホロウ・シカエルボク
 
を済ませた。

「花。」と言って大家は訝しむような顔をした。
「あなたの家の鍵を誰かが持っていて、ドアを開けて、花を置いていくってこと?」
現実味のない話だとは思うけど、と俺は前置きして
「といって他に納得のいくような状況を思いつかないんですよ。」
だけど変ねえ、と大家は首をひねった。
「私の家、アパートの向かいでしょう?私の家の窓から玄関まる見えなんだけど、あなたの家のドアを開ける人なんてあなた以外見たことないわよ。」
ですよねえ、と俺も相槌を打った。そもそもがまるで理解出来ない話なのだ。そして、大家がそれとなくアパートに注意を払っていることもわかった。小さなお婆さんだけど、生真
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