溶け出す音楽/nia
 
あの覚めた感覚は味わいたく無い、心が高振らず醜い自画像でも見ているような気分を数時間過ごすのは全く詰まらない それより昼過ぎた後、空気が沈み出し未完成の音楽流れる まだ正気に戻っていない頭に少し風が入り何かを表現できるような気がしてくる Sのギターの裏側に流れているであろうメロディーを想像する 日の光は薄く遮断されている 音は幾分反発を避け、溶け出して交わるのかもしれない 
きっと音は静まり、返り開け放たれた窓の外では木を打ち付ける音が鳴っている 微かに虫が鳴いているのが聞こえてくる 風が吹き繁る葉が時折擦れ音を立てている 私はこういう時に音楽が生まれるのだと錯覚する

全てを忘れることだ 
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