秋のホーム/ホロウ・シカエルボク
 
方だった。それが十回近く繰り返され、運転を再開します、のアナウンスで慌てて目を覚まし、電車に乗り込んだ。

家に帰って、夕食を夫と食べ、おやすみの挨拶をして自室にこもり―私たちはそれぞれの部屋で別々に寝ている。プライベートは大事、と、お互いに共通する意見を持っている。寝室が別だと長続きしないというけれど、なかなかどうして私たちは大きな喧嘩もなくもう六年は一緒に住んでいる。―バッグの整理をしていると、外ポケットに見慣れないスマートフォンがあるのを見つけた。大変、と思ったけれど、ロックが掛かっていてどうしようもなかった。電車が混んでいたから、誰かのものが紛れ込んだのかもしれない。
(あれ?だけど
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