秋のホーム/ホロウ・シカエルボク
 
日は人目もたくさんあるし、騒がしい。少し眠るくらいきっと大丈夫だろう。経験から来るその確信は当たっていた。私は何も取られなかったし、何もされなかった。でも、もしかしたら、ほんの少しの干渉が夢の中であったかもしれない。もちろんそれは、私が偶然同じ椅子に腰を下ろしたせいなのだろうけど。

夢の中で私は同じ場所に居て、一人の若いスラっとした男の子が電車に飛び込むところをずっと見ていた。下に巻き込まれたのか、映画によくある血飛沫みたいなものは一切見えなかった。電車が止まり、辺りが静まり返ると景色は巻き戻され、彼は何度も電車に飛び込んでいった。散歩の途中で死んでみようと思ったみたいな、淡々とした歩き方だ
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