歩んで償う/静
傷ついてはいけない
傷ついてはいけないと
そんな祝詞の壁の扉に鍵をかけた
風嵐の舞う暗闇に影を放り込んで
流す血の吹荒びを捉えきれずに
錆びつきと凍てつきを押さえ込めずに
愛されてはいけない
愛されてはいけないと
目の前の景色に上手く繋がれぬ日々
「貴方の事をどれだけ好きか理解ってるの」
絞り出された言葉の重さにただ面喰らって
戸惑うばかりで扉の前にただ立ち尽くして
赦されてはならぬ
赦されてはならぬと
さ迷い歩いては虚しさだけの年月
傷ついて離れていった者への悔恨を胸に
扉を開けてこの壁を壊せるだろうか
行く先できっと大丈夫だと云えるのだろうか
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