11月25日 晩秋のちいさな 奇跡/ダンテ カフカ ランボー
 
少し 暗くなって すこし 寒くなった

「あれが いわゆる クライマックスか」

と 私は つぶやいた




そのあとで 私は また 少し 公園の 木々の なかを

ぶらぶら 歩いた




公園の 入口に ふたりの 若い おかあさん らしい女性が

立ち話を していた




公園に 入るときは 顔は 定かに 見えなかったのに

今度は はっきり 表情まで 見える

私が クライマックスを 経てきた ことで

見える ように なったのだ 私は 思った

私は 帰途についた




お日様は なおも 温かく 明るかった

わたしは 11月25日 晩秋の 美しい 天啓だと 思った




もし奇跡というものが あるなら

あの 美しさは

11月25日 晩秋の 小さな 奇跡だと 思った
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